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第十七回 ハインライン 『月は無慈悲な夜の女王』

開催日時:2011/5/19 1700~1920 場所:Moulin de la Galette
参加者:Y,M,F,K
文責:K


どうもこんばんにちは。お盆休みで一気に更新!!

ということでSFにも手を出してみようという今回のハインラインさん。
アシモフやクラークさんと並んでSFの3大巨匠と称される彼の作品を
実は工学部の私も読んだことがなかったという…わけでこの機会に読んでみました。

さて、「SF」というジャンルについてですが、初期作品はヴェルヌやウェルズといった
作家によって生み出されていました。その作品内における科学的考察をもっと厳密に、
そしてより最新のものを取り入れたのが所謂「ハードSF」です。
今回はそんな中でも月面世界といういかにもな場所が舞台の小説です。



で。まず、Fの怒り爆発「性描写があまりにも稚拙!絶対作者こいつDTだろ!
だからSFはなめられんだよ!(多少誇張しております)」
まあ確かに…女性の魅力を描くときにあまりにステレオタイプというか、
未熟なとこはあるぽいよねというみんなの同意。

SFは文学として未熟なの?(だったの?)という話にまでなっていきました。
まあSF黎明期の作品をSFが溢れている時代の我々が批判するのもアレですが、
高尚な内容よりも娯楽的な要素が強いのかなあ?というところでひとまず
決着したようです。

まあ士農工商犬SFってどっかのおじさんが言ってましたしね。

確かに他の設定もわかりやすく、ステレオタイプな民族観、適度に他を
外来語として取り入れている英語、地球の国のそのまま残り具合など、
悪く言えば安直、良く言えば非常にわかりやすい。
みんなの感想「エンタテインメントだな(ただしSEXが足りない)」


で、こういう話してるとやっぱし映画とラノベの話が出てくるんですよね。
「ハリウッド映画みたいでわかりやすいよね」
「映画を見てる感覚になるけど、そうなると想像の幅が狭くなっちゃう」
「600頁強の割には残らない、ラノベみたい」
「没入はしやすいと思うんだけどねえ」
「食い物はすごく旨そう!宮崎アニメみたいな」

んー。ひどい言われよう。エンタテインメントとしてはありなんだと思うんですが。
あとはハリウッドのバーンドカーンみたいな映画は大抵SFだったりするのも、
映画がパッと出てくる要因の一つだとは思ったり。
もちろん、映画が決して悪いわけじゃないんですが。


恒例付箋ターイム!!
M P494 タージマハルを壊す云々の掛け合い
 歴史のない月世界にとっては、歴史=権威であり、畏敬の念を抱いている。
 アメリカが皇居とか京都とかをぶっ壊さなかったのと同じ理由から。
 で、秀吉は朝鮮出兵のときにかまわずぶっ壊しちゃったので今に至っても
 ぐだぐだ文句を言われているのだね、という話を繰り広げました。


F まず、法律の多さは縛らないとどうしようもないアホタレの証である、と。
 で、この小説の月世界にはほぼ成文法がない!すごい!!
 苛酷な環境ではこうなる、というのはすごいなあ。という感想。
 法の前に環境に縛られてる(=自然法)からだろう、という考察も出たり。

 あと P266に「最近は子供をもらうのに色々と厄介な云々…」というところが
 ありますが、F曰く「何でこれをいきなりここで出すの?」という。
 確かに、「最近は…」という語り口と内容からは、百歳近くなった物語最後の
 主人公の姿が浮かんできます。ある意味、ネタバレ。 
 メタ視点による、ここで区切れよという作者のメッセージなのかなんなのか…

 もう一つ。P91から、計算機は生きているのか?という理論。
 思考はすなわち生なのか?人間ですら出生時の部分露出、全部露出という
 議論があったりします。今ノートを見返すと、「これは生きている?死んでいる?」
 という議論をした跡があるのですが、生ビールと生春巻は生きているらしい。


K 例によっていっぱい付箋貼りまくっちゃったんですが、その中でもコンピュータ・マイクの
 仕組みについての話。昔から人工知能の話が大好きな自分はここから暴走を始めました。
 ニューラル・ネットの話、人間の脳の話を延々と図解しながら。ノート汚ねえ。
 マイクは「自分でプログラムを書き換えられる」という設定がありますが、自分はこれがないと
 会話をできるような所謂「知能」が生まれるという設定は破綻してしまうと思っています。
 要するに人間の脳と同じで、インプットに対するアウトプット、そしてさらにそれに対する
 フィードバックが新たなインプットとして入ってくる。これの繰り返しで脳は学習を行う
 と思うのですが、その学習のためにはフィードバックに対してニューロンのつなぎ方を最適化
 していかなくちゃいけない。それがマイクの場合は「プログラムの書き換え」にあたると思うのです。
 ハインラインがそこまで考えていたかはわからないし、別の学説があるかもしれませんが。

 あともう一つだけ、ロケットエンジニアとしては月の重力のすべり台の話はとてもわかりやすく、
 面白かったです。今後の参考にさせていただきたい。


Y P147 「クカイ・モア」ってなんやろね。4人で考えたけど答えは出ず。
 P466 の自由と責任の話。自由ってなんだろね?「自由」の定義は「責任がある」
 という状態?ちなみにFは教授の言う無政府主義がきれいだね、なんてこぼしておりました。


さてさて、というわけで理系も文系も隔てなく色々な話をしましたが、最後に話したのは
唯物論について。私も大分唯物論的な話をしたのですが、安易な唯物論は思考停止であり
廃人への道である。という指摘が。科学的視点の考察ならまだしも、唯物論ありきの思想ほど
危険なものはないよね、と釘を打ってこの日はお開きと相成りました。


SFは最初の選書を全部やって一区切りの前にもう1作ありましたね。アンドロイドのあれ。
次は夏目漱石三部作です。そこはかとなく漂うもんじゃ焼きのかほり。
遅筆のKに叱咤激励を。できれば叱咤少なめでお願いします。
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